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精密部品の保持方法

機械要素

精密機器の設計では、精密に加工された光学部品(ミラー、レンズを含む部品)や高精度機械加工部品(計測基準など)をゆがめずに、かつ可能な限り高い剛性を保つことことが求められる。

部品を組み込んだ後に、外乱(振動や熱)が生じても、その形状を維持する必要があるからだ。

位置決めの記事で、6自由度の過不足ない拘束が重要ということを述べてきたが、組み込んだ後でも元の形状を維持することは簡単ではない。

部品が組み込まれるということは、2つの部材は結合している状態となる。ここからベース部材が変形すると保持される部材にも変形が少なからず伝わってしまうからだ。例えばベース部材にだけ大きな熱が加わった場合など、ベース部材の方が保持される部材よりも大きく膨張する。逆に保持される部材(青色)にだけ熱がかかる場合も同様で、ベース部材との変形量の差が大きくなるために、部材間に歪が生じる。

保持される部材の変形を抑制する方法として、ここでは弾性部材(弾性ヒンジ、フレクシャともいわれる)を一例として示す。これを3か所120度毎に配置する。ここでは精密分野で広く利用されてきたバイポッド(Bipod)とよばれる形状を紹介する。1個の部品で下の図の赤矢印2方向の剛性が高く、それ以外の青矢印4方向は剛性が低い。ハの字の部位の上下が細くなっており、そこがたわみむことで変形の伝達を吸収できる。この部品1個につき2自由度を主に拘束するので、3カ所で6自由度を拘束する。

つまり、保持したい部材の6自由度方向のみ高剛性に支持し、それ以外の拘束を弾性ヒンジの柔軟性を持たせることで外部からの変形を伝わりにくくしている。

部品はワイヤカット放電などを用いて加工するので製造難易度が高く高価な部品であるが、この機能を代替するのが難しいため精密の分野では多く利用されてきた。

放線方向の剛性が弱いので、ベース部材が熱で膨張しても、保持部材にそれが伝わるのを抑制する事ができる。

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