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エンジニアとしての転職

転職・働き方
私は転職を1度経験している。結論から言えば転職によって機械設計者としての経験、技術は高まり、給与も大きく上がったので、人生の大きな岐路ではあったが、転職して良い方向に進んだと思っている。
エンジニアとして、転職は自分の可能性を広げるとても有効な手段であると思う。

多くはない経験であるが、以下に覚えている限り詳細に述べていく。

最初の会社(工作機械メーカ)・年収

大学卒業後最初に就職したのは、工作機械メーカであり、業界シェアは5%程度、当時の従業員数は1000人。

地方国立大学出身で、学卒だったため、高望みせず、適度な規模の会社を選んだ。

機械系の国立大学では通常教授推薦枠があり、スムーズに入社することができた。

いち早く内定を得られたポイントは、「先手必勝」。他の同級生より早くに就職活動を開始することだった。

後から他の学生が、同じ会社に希望を出そうとしていたことを知った。

私が工作機械を選んだ理由は、機械専攻した自分としては、工作機械は、”ザ 機械”という感じで、率直にメカニカルな装置で面白そうに思ったからである。特に切削工具を交換するときのロボット的な動きは小気味よい音と素早い動作であり魅了された。とてもシンプルな理由で選んだ。

配属されたのは、大型の工作機械の設計、開発の部署。

当時の初任給は大卒で20万程度。ただし、残業が多く、月80時間平均で働いていた。当時は若かったので長く働くことの苦痛はさほど感じていなかった。

困ったのは、設計をどのように進めればよいかわからなかったこと。最初に設計を担当したのは、小さなユニットであったが、自分だけで考えても新人の設計者にそんな能力があるわけがない。しかも当時の私は人見知りがひどく、人に聞くのも苦手だった。いろいろ既存装置の図面を見てみたが、それでも設計思想が理解できず、悩んでばかりだった。

そんな中、漸く勇気を出して、忙しそうな先輩に相談にしにいって少しずつやり方がわかっていった。

悩んだら、先輩に聞く。単純ながらこれが一番学ぶのには効率的だということに気づいた。

その後は、少しずつ知識を増やして、一人である程度設計が進められるようになった。

最初の会社の給料はなかなか上がらず、5年で月の昇給は2万円程度、景気の影響もあり、年平均で4000円程度しか上がっていないことになる。

最初の会社(工作機械メーカ)の年収は28歳で500万弱

残業年間1000時間 月収22万円、残業代15万円、ボーナス30万x2程度

給与面では不満があったわけだが、良かったことは、幅広い機械の基礎知識、スキルが得られたことだ。工作機械は機械の宝庫。

設計担当のローテーション(入れ替わり)があり、1ユニットを担当し数か月のスパンで設計/立ち上げまで完了まで継続する。1ユニットの担当が終われば、次は別のユニットの設計を担当できる。鋳物、金属削り部品、駆動ステージ(ガイド、モータ、ボールねじ)、主軸(潤滑、ベアリング)、冷却ユニット、工具交換ユニット、油圧ユニット、空圧ユニットなど、5年間で機械の基礎を一通り学ぶことができた。描いた図面は500枚以上、3DCADやFEMも身に着けることができた。

転職のきっかけ

その会社で5年働いた後に、もう少しいろいろな技術を掘り下げて身に着けたいと思うようになった。工作機械は構造が比較的シンプルで、機械要素の基礎的な部分を学ぶにはとても良い環境であった。しかし、モータ、制御系、ボールねじ等の装置として精度や性能に重要な要素は購入部品に依存している部分が多かったので、これ以上自分の知識や技術を深く追求できていないように思えた。もちろん、他の業界に比べて給与が低い(昇給額が少ない)のも大きな動機ではあった。

そんな折に、学生時代の友人(同級生)に会い、彼の働いている会社についての情報を得た。精密機器メーカの大手だったが、装置が複雑で、振動や計測系、駆動系、構造体等の技術を深く追求していることがわかり、羨ましく思った。些細なきっかけではあったが、これが自分の後の人生を大きく変えるきっかけになった。

友人の話を聞いた後、早速転職サイトに登録してみることにした。WEBで一通りプロフィールを入れるとすぐにエージェントから連絡が入り、面談を行うこととなった。興味がある業界や年収の目安などの情報をエージェントに伝えると、いくつかの案件を提示された。

提示された案件は、自分の好みには合わなかったため、結局、友人の勤める精密機器メーカを受けたい旨を伝えた。

すぐにエージェントが調整してくれて、書類選考、入社試験、面接2回と進み、無事内定をもらった。転職活動はあっという間に終わることとなった。試験や面接の日程調整など面倒なことはすべてエージェントが短期間にやってくれた。

当時の面接(1回目の技術面接)で聞かれたことは、志望動機、会社で何をしたいか、どのような設計経験があるか、図面は何枚書いてきたか、CADやFEMはどういったものが使えるか、といったことだったと記憶している。

面接で強くアピールをしたことは、より具体的に開発したい装置、ユニット名まで上げて、そこで、今までの自分の経験がすぐにでも活かせることだ。

具体的には大物構造体のFEMも含めた設計技術だった。

2回目の面接は役員面接であり技術的なことは何も聞かれなかった。

履歴書、面接でのアピールポイントは、向上心があること、具体的な開発したい装置の種類とユニット名、広範囲のユニットの設計経験あたりだったと思う。即戦力になれるという自信も訴えられたように思う。

あっという間に転職は成功し、精密機器メーカに勤めることとなった。

転職後の会社(精密機械メーカ)・年収

転職後の年収は初年から約670
➡1年目で年収170万円アップ

(月収は29万円、ボーナス100万円x2、残業年間500時間程度)となった。

結果、収入は大幅に上がったことになる。

その後の私の基本月給の昇給は、1年毎に平均で9000円程度(昇格時の昇給含む)となっている。

参考までに月収の年齢別推移(ボーナス除く)をグラフに示す。

実力主義の会社であり、昇給は1年毎の成果によって決まるため、成果が出せないと昇給は下がるが、成果を出すために高い意識で働いていれば着実に昇給することができた。

この転職による収入以外のメリットとしては、転職後の会社は利益が大きかったため、試作予算が潤沢に使えたことがある。これは開発者にとっては非常にありがたいことであり、自分で立案して、試作設計、評価、製品設計へのフィードバックといった開発に必要なPDCAを多く回すことがでた。

結果、転職により、目的としていた、要素技術の深耕を行い自己の成長に結び付けることができた。

もちろん、転職後の苦労もある。新しい環境、人、文化になれる必要がある。入社当時はわからないことが多いので人に聞いて学ぶ必要があるが、私は人見知りするタイプであったため、周囲の環境に溶け込むには少し時間が必要だった。もちろん一旦慣れてしまえば、ほとんどは何とかなるものではあった。

その後(自分の市場価値見極め)

転職後、19年、同じ会社で勤務を継続してきたが、実は再度転職を考えたことがある。大企業で多く採用されている成果主義によるものに疑問を感じたからだ。評価制度を取り入れており、毎年年末に個人の成果を他のメンバと相対評価されている。正当に評価されていれば納得できるが、忖度、序列、上司の好み、担当している業務の重要性や注目度なども影響し、自分の努力が評価されないことも起こり得る。そこで、2年前に転職サイトに再登録してみた。

転職サイトはシステム化されており、登録した途端、多くのエージェントから連絡が入る。特に登録した直後は、連絡が殺到する。多くの案件が提案され、募集の条件、自分の市場価値を知ることができる。

結果的に再転職は見送ることになったが、転職サイトへの踏力は至極シンプル、簡単で、エージェントへのコンタクトも苦なくできる。もちろん無料で、気に入らなければ断ればよいだけだ。 自分の市場価値を知れば、その後の自分の自信にもなる。いろんな企業に求められることがわかれば自信にもなるので恐れることなく仕事を行うことができる。また、スキルが不足していることがわかれば、今後どのようにスキルアップしていくかの計画的な行動につなげることもできる。登録しておいて損はない。


したがって、もし転職するつもりがなくても、自分の市場価値を知る意味で、まずは転職エイジェントに登録してみることをお勧めする。どんな会社で需要があるか、自分のスキル、経験から考えて、現在の給与が妥当なのか、自分の可能性、将来を考える上で有益な情報を多く得ることができる。結果的に転職をしないという選択をするにしても、自分の価値を知ることで、将来を意識した働き方ができるのは良いことだと思う。

まとめ
  • 転職により収入面/技術面で大きなアドバンテージを得られる可能性がある。
  • そのためには、前職でアピールできる技術を身に着けておく必要がある。基礎的な機械技術と専門性(得意分野)があればなお良い。
  • 転職エージェントに登録すれば、無料でスムーズに転職が進められる。
  • 転職するつもりがなくても、転職サイトに登録しておけば自分の市場価値を知り、自分の今後の働き方を見直すきっかけにすることができる。

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